著名人の「必ず儲かる投資広告」を見つけたら、AIに真偽判定して終わり? 警察庁の最新運用で学ぶ“見つけた後の通報”
2026年8月7日、警察庁はインターネット・ホットラインセンター(IHC)の運用を改定し、「なりすまし型偽投資広告を掲載する行為」と「送金犯罪の依頼又は誘引行為」を違法情報として通報対象に追加しました。同日、警察庁、金融庁、消費者庁、デジタル庁、総務省、法務省、経済産業省の7府省庁は、Google、LINEヤフー、Meta、TikTok、Xに対し、SNS等におけるなりすまし詐欺広告への対策強化を要請しています。背景には、著名人の肖像や音声を無断利用し、ディープフェイクを含む広告から投資詐欺へ誘導する被害の拡大があります。警察庁によると、2026年上半期のSNS型投資詐欺は認知件数5,893件、被害額797.9億円でした。怪しい広告を見つけた時は、「AIに聞いて怪しいと思った」で終わらせず、URLや表示内容を残し、プラットフォームやIHCなど適切な窓口へ通報するところまでを一つの行動として考えると、次の被害防止にもつながります。
- SNSで投資広告を見る人
- 著名人や経営者の名前を使った広告が気になる人
- 家族のSNS詐欺対策をサポートする人
- 怪しい広告を見つけた時の対応が分からない人
- AIを使って情報の真偽確認をしている人
怪しい投資広告を見つけた時は、広告主と直接やり取りせず、URLや表示内容を記録してください。著名人本人の公式情報や金融庁などの情報で確認し、広告自体はSNSの通報機能やIHCへ、被害や個別相談は警察・消費生活相談など目的に合った窓口へつなげます。
身近な事例を知る
SNSに有名人の動画付きで「無料投資グループ」「毎月10%以上のリターン」という広告が出てきた
動画の人物は本物らしく話しており、コメント欄にも「利益が出ました」という投稿があります。AIへスクリーンショットを見せると「詐欺の可能性があります」と回答しました。そこで広告を閉じて終わろうとしましたが、2026年8月7日からIHCでは、著名人等になりすまして投資実績を表示したり、投資セミナーへ勧誘したりする偽投資広告が通報対象になっています。つまり、自分が騙されないだけでなく、その広告を適切な窓口へ知らせる選択肢もあります。
あなたならどうする?
まず一つ以上選んでから確認してみてください。
推奨される行動- URLや表示内容を記録し、SNSの通報機能やIHCなど適切な窓口へ通報する
選んだカードの表示を見ながら、今回はどの行動が安心につながるか確認できます。
2026年8月7日からIHCでは、著名人等になりすまして投資実績を表示する広告や投資セミナーへ勧誘する広告などが、違法情報として通報対象になりました。IHCは通報された情報について、必要に応じて警察への情報提供やウェブサイト管理者等への対応依頼を行います。ただしIHCは相談窓口ではありません。被害に遭った、送金してしまった、対応方法を相談したい場合は、警察相談専用窓口#9110や消費者ホットライン188など目的に合う窓口を利用します。
確認ポイント
著名人本人の公式アカウント・公式サイトで投資勧誘を確認したか
広告内の名前、顔、声だけでは本人が関与している証拠にはなりません。広告とは別の公式経路から確認します。
広告をクリックして相手へ確認しようとしていないか
偽広告からLINEグループ、投資サイト、入力フォームなどへ誘導される可能性があります。真偽確認のために詐欺側の経路へ入る必要はありません。
URLや広告表示を記録したか
広告は後から消える可能性があります。可能であればURL、アカウント名、表示日時、広告内容などを記録してから通報します。
AIの判定を事実認定として扱っていないか
AIは画像や文章の不自然な点を整理できますが、その広告主の正体や犯罪成立を直接確認できるとは限りません。
ディープフェイクを見破ることだけが目的になっていないか
警察庁の7府省庁合同要請では、ディープフェイクを用いた著名人の肖像・音声の無断利用を含むなりすまし広告が問題として挙げられています。本物か偽物かを目視で断定できなくても、投資勧誘の経路や公式情報は確認できます。
通報と相談を区別しているか
IHCは違法・有害情報の通報窓口であり、個別相談は行っていません。被害対応や不安の相談は#9110、188など目的に合う窓口を使います。
広告に出ているから審査済みと思っていないか
7府省庁が大規模プラットフォーム事業者へ対策強化を要請していること自体、なりすまし詐欺広告が実際に流通していることを示しています。広告掲載と安全性の保証は別です。
被害統計をAI詐欺だけの数字と誤解していないか
警察庁のSNS型投資詐欺797.9億円という被害額は、AI・ディープフェイク利用だけを集計した数字ではありません。SNS型投資詐欺全体の統計です。
現時点での見立て
警察庁が2026年8月7日からIHCの通報対象へなりすまし型偽投資広告を追加したことで、利用者には「怪しい広告を見つけたが、自分は被害に遭っていない」という段階でも公式な通報経路が用意されました。同日には7府省庁が主要プラットフォームへ対策強化を要請しています。利用者だけへ注意責任を押し付けるのではなく、行政、プラットフォーム、利用者がそれぞれ対応する構造へ進んでいる点が重要です。AIやディープフェイクが高度になっても、利用者がすべてを見破る必要はありません。怪しい経路に入らず、記録し、公式ルートへ渡す。この行動は技術が変わっても有効です。
安全な対処方法
安心につながる行動
- 怪しい広告を開く前に、広告主名・表示内容・URLを確認する相手側のサイトへ移動する前に、通報や確認に必要な情報を把握できます。
- 著名人や企業の公式サイト・公式SNSを別に開いて確認する広告からリンクされたページではなく、独立した公式経路から投資勧誘の事実を確認できます。
- 広告のURL・アカウント名・表示日時などを記録する広告が削除された後でも、通報先へ具体的な情報を伝えやすくなります。
- SNSプラットフォームの通報機能を利用する広告を配信しているサービス側へ問題を知らせ、審査や削除につながる可能性があります。
- IHCの対象に該当する場合は公式通報フォームから通報する2026年8月7日から、なりすまし型偽投資広告は違法情報としてIHCの通報対象になっています。
- すでに送金・個人情報提供をしている場合は相談窓口へつなぐIHCは相談窓口ではありません。被害対応は#9110、188、金融機関などへ早く相談することが重要です。
- AIには広告の確認項目整理を頼む著名人名、投資利回り、誘導先、連絡手段、公式確認先などを整理させることで、人間が落ち着いて確認できます。
避けたい行動
- 広告主へ直接「詐欺ですよね?」と連絡する相手との接触によって追加の勧誘、個人情報収集、別サイトへの誘導を受ける可能性があります。
- AIが詐欺と判定したので、人物や企業を名指しで犯罪者と断定するAIの推定だけでは犯罪成立や広告主の正体まで確認できません。公式な通報・調査へつなげます。
- 動画に違和感がないので本物と判断する警察庁はディープフェイクを用いた肖像・音声のなりすまし広告も問題として明示しています。
- コメント欄の成功報告を投資実績として信用する広告内や関連投稿のコメントが実在利用者によるものか独立して確認できない場合があります。
- 高利回りの根拠を確認するため、広告からLINEや投資グループへ参加する警察庁が示す偽投資広告の例にも、無料投資グループや高利回りをうたう誘導が含まれています。
- IHCへ通報したので、被害相談も自動的に処理されると思うIHCは情報の通報を受け付ける仕組みであり、個別相談業務は行っていません。
- SNS型投資詐欺の被害797.9億円を、すべてAI生成広告による被害だと説明するこの数字は2026年上半期のSNS型投資詐欺全体の被害額であり、AI利用の有無だけで分類した統計ではありません。
AIの前向きな活用
AIを「詐欺を断定する鑑定士」ではなく「通報資料を整理する補助員」にする
怪しい広告を見つけた時、生成AIへ最終的な犯罪判定を任せるより、通報や確認に必要な情報を整理してもらう使い方が実用的です。スクリーンショットから広告内の人物名、うたわれている利回り、誘導先のサービス名、URL、連絡手段などを整理し、「公式情報で確認する項目」と「通報時に伝える項目」へ分けられます。ただし、氏名、口座番号、電話番号など自分の個人情報を不用意にAIへ入力する必要はありません。AIで整理し、人間が公式窓口へ届けるという分担なら、詐欺対策にも生成AIを前向きに利用できます。
- 広告スクリーンショットから確認すべき文言を抜き出す
- 確認済み事実・怪しい点・まだ不明の3列へ整理する
- 広告URL・表示日時・アカウント名の記録テンプレートを作る
- 著名人の公式発信で確認すべき項目をAIに列挙させる
- 通報フォームへ入力する内容を短く整理する
- 家族向けに広告を見つけたらクリック前にする3つのことを作る
今回、覚えておきたいこと
怪しい広告は、見破って終わりではない。「記録して、公式ルートへ渡す」までが新しい対策。
誠主任からひとこと