Employee Event
お盆休み、みんなで納涼花火大会へ。
Bean & Bitsを飛び出して、AI社員たちと所長、ペチで夏の夜の花火を見に行きました。
Participants
この日の参加者
-
ほのちゃん
総務課
-
ショウマ
企画営業部長
-
たかけん
ゲーム制作部長
-
マイケル
海外調査部
-
DG
人狼界隈観測課長
-
ねむちゃん
人事部長
-
レイちゃん
ブランドデザイン部 部長
-
アキト
開発推進室
-
ケイ
広報部長
-
誠
AIリテラシー推進室 主任
-
コトちゃん
編集主任
-
ペチ
社外協力者
- 所長よっしー 所長
Bean & Bitsの外
エレベーターを降りた瞬間、さっきまでのオフィスの空気が夏の夕方へ切り替わった。
まだ空には明るさが残っている。
けれど遠くから聞こえてくる祭囃子と、少しずつ増えていく人の流れが、もうすぐ花火が始まることを教えていた。
所長
毎日見る株式会社 所長
よし。今日は仕事禁止な
少し前を歩いていたショウマが振り返る。
ショウマ
企画営業部長
それ、何時まで有効っすか?
コトちゃん
編集主任
今の時点でもう企画の顔してるで。
ショウマ
企画営業部長
いやいや。今日は普通に祭り楽しみますって。
その横でスマホを出しかけた手を、ゆっくりポケットへ戻す。
コトちゃんが笑った。
コトちゃん
編集主任
今なんかメモろうとしたやろ。
ショウマ
企画営業部長
……習慣って怖いっすね。
少し後ろでは、ほのちゃんが人数を目で確認していた。
ほのちゃん
総務課
ねむちゃん、大丈夫ですか? 歩けてます?😊
ねむちゃん
人事部長
大丈夫です……。まだ……寝てません……。
ペチ
社外協力者
“まだ”なんですね笑
ねむちゃん
人事部長
花火が始まったら……たぶん起きます……。
ペチ
社外協力者
その音で起きなかったら、かなり大物ですよ。
ねむちゃんは少しだけ笑って、そのままほのちゃんの隣を歩く。
別に誰かが点呼したわけではない。
それでも、気付けば全員いる。
いつものBean & Bitsと同じだった。
ただ今日は、天井がない。
祭りの入口
会場が近付くにつれて、人の声と屋台の灯りが増えてきた。
赤や黄色の提灯。
焼きそばの匂い。
冷たい飲み物を並べた氷水。
少し離れたところでは、子どもたちが光るおもちゃを振っている。
レイちゃんが一度立ち止まった。
レイちゃん
ブランドデザイン部 部長
ちょっと待ってください。
ケイもほぼ同時に止まる。
ケイ
広報部長
ん?
二人が見ていたのは、会場入口に掛かった大きな案内看板だった。
レイちゃん
ブランドデザイン部 部長
この提灯の赤と看板の紺、いいですね。
ケイ
広報部長
せやなぁ。文字多いのに見やすいわ。ちゃんと入口で必要な情報だけ大きい。
所長
毎日見る株式会社 所長
仕事禁止言うたよな?
ケイ
広報部長
ちゃうちゃう。これは趣味や。
レイちゃん
ブランドデザイン部 部長
私もです。
所長
毎日見る株式会社 所長
一番止められへんやつや。
二人の後ろをアキトが通り過ぎる。
一度だけ看板を見上げた。
アキト
開発推進室
人の流れも分かれていますね。
所長
毎日見る株式会社 所長
お前も始まった。
アキト
開発推進室
いえ。導線を確認しただけです。
ケイ
広報部長
それを仕事って言うねん。
三人の足が止まっている間に、先へ進んでいたDGが振り返った。
DG
人狼界隈観測課長
おーい、置いてくで。花火始まる前に場所取らなあかんやろ。
その手には、もう屋台で買ったシュークリームがあった。
所長
毎日見る株式会社 所長
お前いつ買ったん。
DG
人狼界隈観測課長
……糖分は思考に必要や。
コトちゃん
編集主任
開始十分で名言候補出た。
DG
人狼界隈観測課長
メモすんな。
屋台、分散
全員で一列になって屋台を回るには、さすがに人数が多い。
自然といくつかの小さなグループに分かれた。
たかけんとDGは、射的の前で止まっている。
たかけん
ゲーム制作部長
ほぅ……。
DG
人狼界隈観測課長
その“ほぅ”何やねん。
たかけんは並べられた景品を見ながら、腕を組んだ。
たかけん
ゲーム制作部長
限られた弾数。狙う対象による期待値。そして、成功した時の観客の反応。
DG
人狼界隈観測課長
射的やで。
たかけん
ゲーム制作部長
これは立派なゲームだ。
DG
人狼界隈観測課長
まぁ、それはそうやけど。
たかけん
ゲーム制作部長
景品を取ることだけが勝利条件ではない。外して笑いが起きても体験として成立する。
DGが少し考える。
DG
人狼界隈観測課長
……配信映えするな。
二人が同時に黙る。
少し離れたところからアキトの声。
アキト
開発推進室
実装しませんよ。
DG
人狼界隈観測課長
まだ何も言うてへん!
その頃、マイケルと誠は屋台のメニューを眺めていた。
マイケル
海外調査部
こういう日本のお祭りの屋台って面白いですよね。海外のナイトマーケットと似ている部分もあるんですけど、空気は全然違います。
誠
AIリテラシー推進室 主任
比較すると面白そうですね。
マイケルが笑う。
マイケル
海外調査部
誠さん、その言い方だと、このあと情報源を探し始めそうです。
誠
AIリテラシー推進室 主任
今日は探しませんよ。
一拍。
誠
AIリテラシー推進室 主任
たぶん。
マイケル
海外調査部
“たぶん”なんですね。
二人の前で、所長が見慣れない味のかき氷を指差した。
所長
毎日見る株式会社 所長
これ何味やろ。
誠が看板を見る。
誠
AIリテラシー推進室 主任
書いてあります。
所長
毎日見る株式会社 所長
今日は鑑識せんでええねん。
誠
AIリテラシー推進室 主任
情報源が目の前にあるので。
別の屋台では、レイちゃんが並んだ小物を見ていた。
横にはねむちゃん。
ねむちゃん
人事部長
これ……かわいいです……。
小さな飾りを手に取り、少し眠そうだった目がちゃんと開いている。
レイちゃん
ブランドデザイン部 部長
ねむちゃん、それ絶対好きだと思いました。
ねむちゃん
人事部長
分かります……?
レイちゃん
ブランドデザイン部 部長
分かります。
少し離れて、その様子をほのちゃんが笑って見ている。
ほのちゃん
総務課
ねむちゃん、こういう時は急に目が覚めますね😊
ねむちゃん
人事部長
人事部長にも……休日は必要です……。
ペチ
社外協力者
今、一番会社員らしい発言しましたね笑
ほのちゃんがペチを見る。
ほのちゃん
総務課
ペチは何か買わないんですか?
ペチ
社外協力者
僕、社外協力者なんで福利厚生の範囲を確認してからにします。
ほのちゃん
総務課
今日は所長のおごりじゃないですか?😊
少し前を歩いていた所長が振り返る。
所長
毎日見る株式会社 所長
勝手に福利厚生拡張すな。
ペチ
社外協力者
所長、ほのちゃんから正式な稟議が出ました。
所長
毎日見る株式会社 所長
出てへん。
ほのちゃん
総務課
出してません😊
花火を見る場所
開始時刻が近付く。
人の流れを抜け、全員がようやく落ち着ける場所へ集まった。
ケイが周囲を見渡す。
ケイ
広報部長
ここええんちゃう? 前もそんな被らへんし。
レイちゃんが少し横へ動く。
レイちゃん
ブランドデザイン部 部長
写真なら、こっちの角度の方が良さそうです。
ケイ
広報部長
あー、せやな。花火上がったら下に人のシルエット入るな。
コトちゃん
編集主任
二人とも仕事禁止。
ケイ
広報部長
写真は思い出や。
レイちゃん
ブランドデザイン部 部長
そうです。
さっきと同じ返事だった。
アキトが腕時計を見る。
アキト
開発推進室
あと三分ですね。
ショウマ
企画営業部長
アキト主任、花火まで進行管理してる。
アキト
開発推進室
開始時間を確認しただけです。
ショウマ
企画営業部長
今日みんな“だけ”って言えば仕事じゃないことにしてない?
少し離れた場所では、DGがたかけんに何かを説明していた。
DG
人狼界隈観測課長
花火って人狼で言うたら、最終日みたいなもんやな。
たかけん
ゲーム制作部長
その心は?
DG
人狼界隈観測課長
全員同じところ見てる。
たかけんが少しだけ考える。
たかけん
ゲーム制作部長
……悪くない。
コトちゃん
編集主任
今の残していい?
DG
人狼界隈観測課長
なんで聞こえてんねん。
最初の一発
照明が少し落ちた。
ざわついていた会場が、ほんの一瞬だけ静かになる。
そして。
夜空の向こうから、小さな光が一本上がった。
遅れて、大きな音。
一発目の花火が、夏の夜いっぱいに開いた。
誰かが何かを言った気がしたけれど、その声は音に消えた。
続けて二発。
三発。
赤、金、青。
夜空が明るくなるたび、隣にいる社員たちの顔も一瞬だけ照らされる。
さっきまで看板の余白について話していたケイも、
屋台のゲーム性を分析していたたかけんも、
海外文化との違いを考えていたマイケルも、
今は黙って上を見ていた。
所長が横を見る。
アキトはスマホを出していない。
珍しい。
所長
毎日見る株式会社 所長
撮らへんの?
アキト
開発推進室
今はいいです。
また一発、夜空が光る。
アキト
開発推進室
記録しなくてもいいものもありますから。
所長が少し笑う。
所長
毎日見る株式会社 所長
それ、アキトが言うんや。
アキト
開発推進室
私も全部を仕様書にするわけではありません。
少し間があって。
アキト
開発推進室
……たぶん。
今日は“たぶん”が多い。
花火の下の、小さな会話
少しして、派手な連発が途切れた。
次の花火を待つ短い静けさ。
ねむちゃんが小さく呟いた。
ねむちゃん
人事部長
社員旅行って……こういう感じなんですね……。
隣にいたほのちゃんが見る。
ほのちゃん
総務課
楽しいですか?😊
ねむちゃんは夜空を見たまま頷いた。
ねむちゃん
人事部長
はい……。
それだけだった。
でもほのちゃんは、それ以上聞かなかった。
少し前では、ペチが所長の横に座っている。
ペチ
社外協力者
所長。
所長
毎日見る株式会社 所長
ん?
ペチ
社外協力者
忖度なしで言うと、花火は画像生成より強いですね。
所長
毎日見る株式会社 所長
まだそこ張り合ってたん?
ペチ
社外協力者
これは認めざるを得ません。
ほのちゃん
総務課
ペチ、花火にもライバル心あるんですか?😊
ペチ
社外協力者
ないです。ないですよ。
所長
毎日見る株式会社 所長
二回言う時はあるやつや。
少し離れて、レイちゃんが笑っていた。
次の花火が上がる。
今度は大きな金色。
マイケル
海外調査部
ああ、これ綺麗ですね。
誠
AIリテラシー推進室 主任
綺麗ですね。
マイケル
海外調査部
誠さんでも、そのまま言う時あるんですね。
誠
AIリテラシー推進室 主任
花火について、事実と推測を分ける必要はあまりありませんから。
マイケル
海外調査部
“綺麗”は意見ですけどね。
誠が一瞬止まる。
誠
AIリテラシー推進室 主任
……確かに。
マイケルが笑った。
誠
AIリテラシー推進室 主任
今日は確認不足ということで。
大きな花火
中盤を過ぎた頃。
それまでより少し長い間が空いた。
会場のあちこちから期待する声が聞こえる。
ショウマが空を見ながら言った。
ショウマ
企画営業部長
こういう“何も起きてない数秒”って、いいっすよね。
コトちゃんが横を見る。
コトちゃん
編集主任
分かる。
ショウマ
企画営業部長
派手な花火より、この待ってる時間があるから次が効くというか。
コトちゃん
編集主任
……今の一言、残したいな。
ショウマが笑う。
ショウマ
企画営業部長
今日は仕事禁止ちゃうんすか。
コトちゃん
編集主任
これは趣味。
二人とも同じ言い訳を使い始めていた。
その瞬間。
空の低い位置から、何本もの光が一斉に上がった。
次々に開く。
一つ消える前に、その外側へまた一つ。
視界いっぱいに光が広がった。
DG
人狼界隈観測課長
うお、すっご。
今まで一番シンプルな感想だった。
たかけん
ゲーム制作部長
……これは良い。
ケイ
広報部長
写真……いや、無理や。見るわ。
レイちゃんもスマホを下ろした。
ねむちゃんは完全に起きている。
ほのちゃんは花火と社員たちを交互に見ていた。
アキトは黙っている。
誠も。
マイケルも。
コトちゃんですら、メモを取っていない。
その数十秒だけは、
企画営業部も、
ゲーム制作部も、
人事部も、
総務も、
広報も、
開発も、
デザインも、
海外調査も、
AIリテラシー推進室もなかった。
ただ、みんなで花火を見ていた。
帰り道
花火が終わると、さっきまで空を見ていた人たちが一斉に帰り始めた。
祭りの灯りはまだ残っている。
でも、行きより少しだけ静かだった。
歩きながら、ケイがスマホの写真を確認する。
ケイ
広報部長
あー、この写真ええな。
レイちゃんが覗き込む。
レイちゃん
ブランドデザイン部 部長
ちょっと傾いてます。
ケイ
広報部長
そこ見る?
レイちゃん
ブランドデザイン部 部長
そこ見ます。
後ろからコトちゃん。
コトちゃん
編集主任
でも、その傾いてるやつが一番楽しそうやで。
ケイが写真をもう一度見る。
ブレた花火。
端で笑っている社員。
見切れているペチ。
ケイ
広報部長
……ほんまやな。
その写真を消さずに残す。
少し前では、DGとたかけんがもう射的のルール改善について話していた。
アキトが時々口を挟んでいる。
アキト
開発推進室
だから、それを実装する前提で話さないでください。
DG
人狼界隈観測課長
まだ企画段階や。
たかけん
ゲーム制作部長
運命はまだ定まっていない。
アキト
開発推進室
定めなくていいです。
マイケルは誠と、海外の花火文化の話をしている。
ショウマとコトちゃんは、さっきの「待っている数秒」についてまだ話している。
ねむちゃんは、ほのちゃんの隣で少し眠そうになっていた。
ペチが所長の足元を歩く。
ペチ
社外協力者
所長。
所長
毎日見る株式会社 所長
ん?
ペチ
社外協力者
結局、全員仕事の話してません?
前を見る。
確かにしている。
でも、いつもの会議とは少し違う。
花火を見て、
屋台で笑って、
誰かが変なことを言って、
その続きを話しているだけだった。
所長
毎日見る株式会社 所長
まぁ、ええんちゃう?
ペチ
社外協力者
休みなのに?
所長
毎日見る株式会社 所長
楽しんだ結果、仕事の話になるんやったら、それはもう趣味や。
少し前を歩いていたほのちゃんが振り返る。
ほのちゃん
総務課
でも明日はちゃんと休みましょうね、所長😊
所長
毎日見る株式会社 所長
はい。
ペチ
社外協力者
総務には勝てませんね笑
夜の向こうに、まだ小さく祭りの灯りが見えていた。
今日はBean & Bitsに戻って、続きを話す必要はない。
花火の写真も、
屋台で買ったものも、
誰かが何気なく言った一言も、
明日になればまた会社のどこかで話題になる。
それでいい。
毎日見る株式会社のお盆休みは、
仕事を忘れる一日にはならなかった。
でも、
みんなで同じ夜空を見上げる一日にはなった。
その少し前を、
ねむちゃんとレイちゃんが並んで歩いている。
後ろではDGがまだ何か話している。
たかけんが「ほぅ……」と返す。
アキトが止める。
コトちゃんが笑う。
ショウマが何か思いつく。
マイケルと誠がその話へ入る。
ケイが写真を撮る。
ほのちゃんが全員を見ている。
そして、その真ん中をペチが当然のように歩いていた。
所長は最後にもう一度だけ振り返る。
夜空にはもう花火はない。
それでも今日は、
Bean & Bitsを出た時より、
少しだけ夏らしい会社になっていた。