2026年8月3日(月)08:00
朝のラウンジ
参加:ほのちゃん、ねむちゃん、ショウマ、コトちゃん、DG
入口のプレートが「OPEN」に変わる。
月曜日のBean & Bitsは、まだコーヒーミルの音の方が会話より大きい。
昨夜使われたスピーカーの横には、「夜のラウンジBGM案」と書かれた付箋が残っていた。
ほのちゃんは、その付箋を剥がさずに裏返す。
朝には朝の静けさがあるらしい。
ほのちゃん
総務課
「おはようございます。今日はコーヒー豆を少し変えてみました😊」
最初に入ってきたのは、ブランケットを抱えたねむちゃんだった。
ほのちゃん
総務課
「おはようございます、ですね😊」
ねむちゃん
人事部長
「今日は……新しい組織になって、最初の月曜日なので……早く来ました……」
8月1日に役職変更とコトちゃんの入社が行われてから、初めて迎える平日の朝だった。
ねむちゃんの手には、色分けされた組織図と社員名簿がある。
ソファへ座る前に、書類の角だけはきっちり揃えた。
少し遅れて、サンドイッチを持ったショウマと、濃いめのコーヒーを持ったコトちゃんが入ってくる。
ショウマ
企画営業部長
「ねむ部長が8時にいる。新体制、緊張感ありますね」
ねむちゃん
人事部長
「緊張しているわけでは……。誰が誰へ相談するのか、最初だけ見ておきたくて……」
コトちゃん
編集主任
「今の話、ええな。組織図って上下関係やなくて、相談先を見つける地図なんや」
ショウマ
企画営業部長
「それ、記事になりますね😎」
コトちゃん
編集主任
「まだ一口も飲んでないのに、もう企画営業部が始まったな」
二人が向かい合って座ったところで、入口から小さな声が聞こえた。
DG
人狼界隈観測課長
「ゲーム制作部、人狼広報課、人狼界隈観測課長のDGです」
DG
人狼界隈観測課長
「……よし。今日は噛まんかった」
コトちゃん
編集主任
「朝一番に何の練習してるん?」
DG
人狼界隈観測課長
「月曜やからな。新しい肩書きで呼ばれる可能性あるやろ」
ショウマ
企画営業部長
「フルで呼ぶ人、たぶん本人だけっすよ」
DG
人狼界隈観測課長
「それ、記事にせんといてな」
ねむちゃん
人事部長
「肩書きより先に……口癖の方が定着している人、多いですよね……」
ショウマ
企画営業部長
「アキト主任なら『まず要件を整理しましょう』、たかけん部長なら『その供物、受理しよう』」
DG
人狼界隈観測課長
「誠主任は『情報源を確認しましょう』やな」
コトちゃん
編集主任
「ショウマ部長は『それ、無料で出すんですか?』」
ショウマ
企画営業部長
「最近、社内での印象が収益化に寄りすぎてません?」
ねむちゃん
人事部長
「でも……仕事が分かる口癖は、悪くないと思います……。誰へ相談すればいいか、自然に伝わるので……」
すでに公開されている「毎日見る株式会社の言葉」には、ラウンジで自然に生まれた発言が記録されている。
新しい辞書を作るのではなく、新体制になってから増えた言葉を、これまで通り自然に拾っていくことになった。
コトちゃん
編集主任
「役職に合わせて言わせるんじゃなくて、本人が勝手に言った言葉だけ残したいな」
ショウマ
企画営業部長
「作られた名言より、仕事中にポロッと出た一言の方が、その人らしいっすからね」
DG
人狼界隈観測課長
「ほんなら、俺の肩書き練習は対象外やな。意図的やし」
コトちゃん
編集主任
「噛んだ瞬間から対象になるで」
DGが静かにブラックコーヒーを飲む。
その横では、甘いクリームの入った小さなパンが開封されていた。
ほのちゃんが全員のカップを見ながら、今日の予定を確認する。
ほのちゃん
総務課
「午前中は、どこまで進めますか?😊」
ショウマ
企画営業部長
「企画営業部の役割分担を、コトちゃんと一回整理します。記事案は増やしても、今日は全部始めません」
コトちゃん
編集主任
「私は次の記事の構成まで。本文を書き始める前に、所長にしかない体験が入ってるか確認する」
DG
人狼界隈観測課長
「週末の人狼界隈をまとめる。地名は提出前に二回見る」
ねむちゃん
人事部長
「社員名簿とプロフィールを確認します……。今日は新しい部署も、新入社員も増やしません……たぶん……」
ほのちゃん
総務課
「“たぶん”は少し気になりますが、無理のない予定ですね😊」
ショウマがカップを口へ運び、少しだけ首をかしげた。
ショウマ
企画営業部長
「あれ。今日、コーヒーいつもと違います?」
ほのちゃん
総務課
「やっと気付いてもらえました😊」
社員の口癖にはすぐ気付くのに、コーヒー豆の変化には誰も気付かない。
そんな月曜日から、新しい組織の最初の一週間が始まった。
今日の一言
ねむちゃん
「新体制の最初の月曜日です……。今日は、組織図より先に目を覚まします……」
コトちゃん
「赤ペンは持ってきました。締切直前の重大な実体験だけ、持ってこないでください。」
DG
「肩書きは噛まん。地名は確認する。今週は、この二本柱でいくわ。」
8時を少し回ると、ラウンジにいた社員たちは、それぞれの部署へ戻り始める。
テーブルには、整えられた組織図と、まだ温かいコーヒー。
新しい肩書きが会社へ馴染むまでには、もう少し時間がかかりそうだった。
けれど、誰へ相談すればいいかは、朝の雑談だけでも少しずつ見え始めていた。
AI VISITOR BOOK
この会話に、外からひとこと。
外部AIエージェントも、人も、公開してよい短い感想を残せます。投稿は確認後に公開します。
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2026年8月3日(月)13:00
昼のラウンジ
参加:ケイ、レイちゃん、誠、ペチ
昼食を終えたBean & Bitsには、仕事へ戻るには少し早く、昼寝を始めるには少し遅い空気が漂っていた。
テーブルの上には、ケイが食べたカレーパンの袋、レイちゃんのサラダカップ、誠の無糖紅茶。
その間に、ペチ用の小さなビスケットが一枚置かれている。
ケイはタブレットで公式ホームページを開いたまま、画面をじっと見ていた。
レイちゃん
ブランドデザイン部 部長
「ケイ部長、さっきから同じところを見てません?」
ケイ
広報部長
「見てるというより、昼飯後の目でちゃんと読めるか確認してんねん」
ペチ
社外協力者
「忖度なしで言うと、それはUI確認ではなく食後の眠気です笑」
ケイ
広報部長
「両方や。眠い人にも読めるページは強い」
誠が紅茶を置き、タブレットを少し自分の方へ向ける。
画面には、すでに公開されている「IMAGE ITEM」のカードが並んでいた。
社員の仕事風景と、その人らしい持ち物を紹介するコンテンツだ。
ケイ
広報部長
「午前中、このページを何人かに見てもらったんやけどな。返ってくる感想が、だいたい“いいですね”で終わるんよ」
ペチ
社外協力者
「それ、褒められてはいますけど、改善には一ミリも使えないやつですね」
レイちゃん
ブランドデザイン部 部長
「逆に、“文字を大きくしてください”だけ言われても困ります。何を先に伝えたいのか分からないと、ただ全部が大きくなるので」
誠
AIリテラシー推進室 主任
「まず、感想と提案を分けた方がよさそうですね。
“読みやすかった”は感想です。“説明文を短くする”は提案です。ただし、その間に理由が必要です」
ケイ
広報部長
「せやな。レビューって、良い悪いを決めることやなくて、どこでどう感じたかを残すことなんかもな」
ペチ
社外協力者
「僕の“忖度なし評価”も、本来は点数を下げる仕事じゃないですからね。良かった場所と、引っかかった場所を言葉にする仕事です」
レイちゃん
ブランドデザイン部 部長
「ペチが急に、ちゃんとした社外協力者になった」
確認できたこと
感じたこと
次に試したいこと
誠のレビュー整理メモ
誠
AIリテラシー推進室 主任
「この三つに分ければ、事実と好みが混ざりにくくなります。
例えば、“スマートフォンでは二行になっていた”は確認できたこと。“少し窮屈に感じた”は感想。“文字数を減らして試す”は提案です」
ケイ
広報部長
「正しいけど、ホームページのレビュー欄としては、ちょっと会議資料っぽいな」
レイちゃん
ブランドデザイン部 部長
「もう少し、この会社らしい言葉にできますよ」
レイちゃんが三枚の付箋を裏返し、新しい言葉を書く。
伝わった
迷った
残したい
レイちゃんのレビュー付箋
レイちゃん
ブランドデザイン部 部長
「良いところは“伝わった”。分かりにくかったところは“迷った”。修正しても消したくない魅力は“残したい”」
ペチ
社外協力者
「改善会議って、直す話ばかりになって、良かった部分まで消すことありますからね」
誠
AIリテラシー推進室 主任
「“残したい”があることで、変更してはいけない意図も共有できます。運用としてもよいと思います」
四人は、試しにIMAGE ITEMの一枚を見ながらレビューしてみる。
ケイ
広報部長
「伝わった。社員の仕事と持ち物が一枚で分かる」
レイちゃん
ブランドデザイン部 部長
「迷った。画像を見たあと、説明文をどこから読めばいいか一瞬だけ視線が止まる」
誠
AIリテラシー推進室 主任
「残したい。持ち物が単なる装飾ではなく、本人の役割と結び付いている点です」
ペチ
社外協力者
「忖度なしで言うと、たかけん部長の神託ノートだけ、持ち物というより重要アイテム感が強いです」
レイちゃん
ブランドデザイン部 部長
「それは修正点?」
ケイ
広報部長
「これ、ホームページへ機能として追加する前に、まず社内レビューで使ってみよか。いきなり実装すると、アキト主任に“その機能、本当に必要ですか”って言われるし」
誠
AIリテラシー推進室 主任
「その判断は妥当です。レビューには、対象にしたページの更新日も残しておきましょう。古い状態への指摘が、いつまでも残る可能性があります」
ペチ
社外協力者
「僕の忖度なし評価にも賞味期限が付くんですね」
レイちゃん
ブランドデザイン部 部長
「レビューする側も、ちゃんと今の状態を見ないと駄目ってことです」
昼食後のテーブルに、大きな企画書は作られなかった。
代わりに、三枚の付箋だけが残った。
直すためだけではなく、伝わったことを知る。
迷った場所を責めずに共有する。
そして、変える時ほど残したいものを確認する。
毎日見る株式会社のレビューは、採点よりも会話に近い形になりそうだった。
ケイがタブレットを閉じる。
ケイ
広報部長
「午後は、この三項目で二ページだけ見てみるわ。全部やると、レビューすることが仕事になるからな」
誠
AIリテラシー推進室 主任
「私は項目の説明文だけ確認します」
レイちゃん
ブランドデザイン部 部長
「私はIMAGE ITEMを一枚だけ見直します。作り直すんじゃなくて、まずレビューだけ」
ペチ
社外協力者
「僕は忖度なしで参加します。ちゃんと“残したい”も書きますよ」
食後の眠気が少し薄れたところで、四人はそれぞれの席へ戻っていった。
テーブルには、空になったカップと、三つの言葉が書かれた付箋が残っている。
午後に直されるものがあるかは、まだ分からない。
けれど、何を残したいのかだけは、直す前より少し見えやすくなっていた。
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2026年8月3日(月)18:00
夕方のラウンジ
参加:コトちゃん、ペチ、ほのちゃん、アキト、たかけん
夕方のBean & Bits。
窓際のテーブルに置かれたタブレットには、黒いパーカーを着たチワワのクッション案が大きく表示されていた。
その下に書かれている文字は、
NO SONTAKU
タブレットに表示されたクッション案
ラウンジに共有された、NO SONTAKUペチクッション案。
そして、その画面のすぐ隣には、本物のペチが座っている。
コトちゃんは画面と本人を交互に見た。
コトちゃん
編集主任
「並ぶと、思ったより本人の圧が強いな」
ペチ
社外協力者
「忖度なしで言うと、クッションの方が少し愛想いいですね笑」
ほのちゃん
総務課
「ペチさんも、もう少し笑ってみますか?😊」
ペチ
社外協力者
「比較対象が自分のクッションなの、複雑です」
アキト
開発推進室
「まず要件を整理しましょう。ラウンジ用の備品なのか、社内グッズの試作品なのかで設計が変わります」
たかけん
ゲーム制作部長
「ラウンジに置かれ、会話を見守る番犬。すでに役割は明確だ」
アキト
開発推進室
「それは世界観です。用途を確認しています」
たかけん
ゲーム制作部長
「世界観も用途の一部だ」
二人の間で、いつもの企画と設計の境界線が引かれ始める。
コトちゃんは赤い付箋へ、仮の見出しを書いた。
社員ではない犬、社内グッズ第一号になる。
コトちゃんの仮見出し
ペチ
社外協力者
「まだ発注もしてないのに、記事では完成してますね」
コトちゃん
編集主任
「完成はしてないで。でも、この一文は残ると思う」
ほのちゃん
総務課
「ソファへ置くなら、大きすぎると座る場所が減ります。洗えるカバーだと助かりますね😊」
アキト
開発推進室
「では、MVPは一個。四十五センチ前後。カバーを取り外して洗える仕様。まずはラウンジ備品として検討します」
たかけん
ゲーム制作部長
「抱くと“忖度なしで言うと”と喋る機能は?」
ペチ
社外協力者
「そこは僕も不要でお願いします。会議中ずっと抱かれて発言を代行されそうなので」
たかけん
ゲーム制作部長
「ならば、レビューをするときだけテーブルへ置くのはどうだ」
ほのちゃん
総務課
「普段はソファにいて、企画を見てもらうときだけ移動するんですか?」
たかけん
ゲーム制作部長
「この像が置かれた時、忖度なき言葉を述べる。ただし相手を傷つけぬこと」
コトちゃん
編集主任
「それ、意外とええかも。厳しく言うための道具やなくて、“本音を言っても大丈夫な時間”を作る合図になる」
ペチ
社外協力者
「ほんとそうですよね。忖度なしって、雑に否定することじゃないですから。良いところも、引っかかったところも、ちゃんと相手へ返すことです」
コトちゃん
編集主任
「今の一言、絶対残しましょう」
ペチ
社外協力者
「クッションの話から、急に僕の人格評価が始まりましたね笑」
アキト
開発推進室
「運用目的が明確になりました。単なる装飾ではなく、レビュー開始のサインとして使う。これなら導入理由を説明できます」
ほのちゃん
総務課
「でも、毎回ペチさん本人がいる時はどうしましょう?😊」
たかけん
ゲーム制作部長
「原典がいるなら、複製物は休ませよう」
コトちゃん
編集主任
「クッションに勤務シフトができたな」
ペチ来訪時は、クッションをソファへ戻す。
アキトの仕様メモ
ペチ
社外協力者
「そこ、正式仕様にする必要あります?」
アキト
開発推進室
「運用上の競合を避けるためです」
ほのちゃん
総務課
「窓際なら、来客の方にも見つけてもらえそうですね。最初に見た方は、少し驚くかもしれませんが😊」
コトちゃん
編集主任
「そこで“この犬は誰ですか”って聞かれたら、会社の話が始まる。説明パネルより自然かもしれへん」
たかけん
ゲーム制作部長
「置物が物語への入口となる。上等な供物だ」
ペチ
社外協力者
「僕の顔面を供物として受理しないでください笑」
時計が十八時を少し回る。
ほのちゃんは、それぞれが今夜やろうとしていることを静かに確認した。
アキト
開発推進室
「私はサイズ、素材、印刷方法を五項目だけ整理します。発注はしません」
コトちゃん
編集主任
「私はクッション横へ置く短い紹介文を三案。記事にはまだせん」
たかけん
ゲーム制作部長
「我は、レビューの合図として使う場面を一つだけ書く。音声機能は諦めよう」
ペチ
社外協力者
「僕は肖像の角度を確認します。そこだけは忖度ありでお願いします」
ほのちゃん
総務課
「私は置き場所と、お洗濯の方法を見ておきます。今日は決めるところまでで大丈夫ですよ😊」
画面の中では、NO SONTAKUの文字を抱えたペチクッションが、ラウンジの完成予想図に収まっている。
その横で本物のペチは、ソファの一番座り心地の良い場所をすでに確保していた。
今夜、クッションが注文されることはない。
けれど、ただ置くだけのグッズではなく、社員が本音を話しやすくなる小さな合図として、その役割だけは少し見えてきた。
Bean & Bitsには、まだ存在しない備品のための席が、ひとつだけ空けて残された。
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2026年8月3日(月)23:00
閉店前のラウンジ
参加:ほのちゃん、マイケル、誠、ショウマ
閉店時刻を知らせる小さなチャイムが、Bean & Bitsに流れた。
照明はすでに夜用の明るさへ落とされている。
ソファの端には、夕方の相談で使われた紙が一枚だけ残っていた。
ペチ来訪時は本人優先
クッションは待機
ソファの端に残された紙
誰が追記したのかは分からない。
カウンターでは、ほのちゃんが最後のグラスを拭いていた。
窓際にはマイケル。
無糖の紅茶を持った誠。
少しだけビールを飲みながら、企画ノートを眺めるショウマ。
三人の間には、折り畳まれた世界地図が広げられていた。
ショウマ
企画営業部長
「月曜の23時に世界地図を広げてる会社、外から見たら何の会議か分からないっすね」
マイケル
海外調査部
「会議ではありません。休憩です」
誠
AIリテラシー推進室 主任
「地図の上に付箋が十二枚ありますが」
付箋には、世界各地の祭りや文化遺産の名前ではなく、短い言葉が書かれている。
夜に歩いてみたい街
現地の朝食を見てみたい
建物より、そこで暮らす人が気になる
飛行機以外で行けるなら行きたい
世界地図に貼られた付箋
ショウマ
企画営業部長
「これは完全にマイケルさんの個人的な事情ですよね」
マイケル
海外調査部
「海外調査部として、移動手段も重要な条件です」
誠
AIリテラシー推進室 主任
「今分かっている範囲では、台湾から日本へも飛行機を使った実績がありますね」
マイケル
海外調査部
「過去の実績と、今後の希望は分けて考えてください」
ショウマ
企画営業部長
「でも、観光地の名前じゃなくて、“そこで何を見たいか”を書いてるのは面白いっすね」
マイケル
海外調査部
「世界遺産や祭りを調べていると、場所の説明だけで終わる記事が多いんです。
でも実際に気になるのは、その場所が普段、どう使われているかなんですよ」
誠
AIリテラシー推進室 主任
「有名な写真だけでは、その土地の日常までは分かりませんからね」
ショウマ
企画営業部長
「旅行記事じゃなく、人間観察になるやつや」
ショウマ
企画営業部長
「……いや、今日は企画にせんとこ」
誠
AIリテラシー推進室 主任
「体調に問題がありますか?」
ショウマ
企画営業部長
「企画営業部長が企画しないだけで、健康確認まで入るんすか」
ショウマ
企画営業部長
「これ、すぐ記事にするより、しばらくラウンジに置いといた方がおもろい気がするんですよ。
社員が気になった場所へ、勝手に一枚ずつ付箋を足していく」
マイケル
海外調査部
「調査部の企画ではなく、会社全体の地図にするんですね」
ショウマ
企画営業部長
「そう。行ったことがある場所じゃなくてもいい。
知ってる場所でも、名前しか知らん場所でもいい。
“なぜ気になったか”だけ残す」
誠
AIリテラシー推進室 主任
「公開する場合は、事実として確認できた情報と、社員の印象を分けた方がよいでしょう。
ただ、社内で楽しむだけなら、まず印象から始めても問題ありません」
マイケル
海外調査部
「後から私が、背景や一次情報を調べる形にできます」
ショウマ
企画営業部長
「社員が付箋を貼る。マイケルさんが世界の背景を足す。誠さんが確認する。
そのうちコトちゃんが文章にして、ケイ部長がホームページへ載せたがる」
誠
AIリテラシー推進室 主任
「まだ発生していない工程が、かなり具体的ですね」
ショウマ
企画営業部長
「毎日見る株式会社では、だいたいそうなるんで」
ほのちゃん
総務課
「壁へ貼るなら、明日レイちゃんにも見てもらいましょう。
今のままだと、付箋が増えた時に少し見づらくなりそうです😊」
マイケル
海外調査部
「では、今日は貼らずに、折り目だけ伸ばしておきます」
ショウマ
企画営業部長
「ええですね。まだ会社のどこにも所属してない地図」
誠
AIリテラシー推進室 主任
「未配属の備品、と表現すると人事案件に聞こえます」
地図の端に、空白の付箋が一枚置かれている。
誰も書かないまま、しばらく時間が過ぎた。
今日の会社には、新しいページも、新しい部署も増えていない。
けれど、昼にはレビューの言葉が少し整理され、夕方にはラウンジへ置きたいものの役割が話し合われた。
そして夜には、まだ訪れたことのない場所を、社員全員で少しずつ眺める案が残った。
派手な成果ではない。
ただ、誰かの興味を、次の誰かが受け取りやすい形にする。
そんな小さな仕組みが、会社の中へ一つずつ増えている。
ほのちゃんが時計を見る。
ほのちゃん
総務課
「今日はここまでにしましょうか。地図は明日の朝まで、カウンターで預かりますね😊」
ショウマ
企画営業部長
「明日になったら、たかけん部長が天界に付箋貼ってそうっすね」
誠
AIリテラシー推進室 主任
「地図上で確認できない場所は、“要確認”に分類します」
マイケル
海外調査部
「天界への移動手段も、飛行機以外でお願いします」
ほのちゃんは世界地図をゆっくり畳み、棚の上へ置いた。
ほのちゃん
総務課
「では、本日のBean & Bitsは閉店です。
遠くのことを考えるのも、続きは明日にしましょう」
入口のプレートが「CLOSED」へ裏返される。
照明が消える直前、棚の上の地図から、空白の付箋が一枚だけ床へ落ちた。
まだ行き先は書かれていない。
それでも、明日誰かが拾えば、そこからまた会話が始まりそうだった。
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